「工務店に依頼する際のデメリットは何?」
「工務店で家を建てたいが、本当に選んでいいのだろうか」
「工務店かハウスメーカー、どちらに依頼すべきか悩んでいる」
このような悩みを抱えていませんか?一生に一度といわれるマイホーム。だからこそ失敗はしたくないし、このまま工務店へ依頼してしまって大丈夫かなと感じている人も多いでしょう。
もちろん工務店には後悔につながりやすいデメリットが存在しますが、デメリットを打ち消し、高い満足度を得られるような強みもあります。
不動産業界歴10年以上の私が、下記についてわかりやすく解説します。
- 工務店で家を建てるデメリット
- 工務店のデメリットを打ち消す強み
- 工務店とハウスメーカーとの違い
- 工務店の家づくりで高い満足度を得られる人の特徴
- 自分に合った工務店を見つける6つのステップ
ぜひこの記事を最後まで読んで、あなたに合った家づくりのパートナーを見つけ出してください!
家づくりを工務店に依頼する前にデメリットを抑えておこう
デメリットは家づくりで後悔につながるポイントです。もちろん工務店にもデメリットは存在します。
工務店で家づくりを成功させるためには、工務店のデメリットをあらかじめ把握し、自分に合っているかどうかを見極めるのが重要です。
もしデメリットを把握しないまま工務店で家づくりを進めてしまうと、何かトラブルがあった際に後悔してしまうのは明白です。
あらかじめどんなメリットがあるかを把握しておくと、デメリットの対処法を講ずることができます。
工務店の5つのデメリットとハウスメーカーとの比較
工務店に家づくりを依頼した際に感じやすいデメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
- アフターサービスの内容にばらつきがある
- 倒産リスクがある
- 品質にばらつきがある
- 展示場を持っていない
- 時間がかかる
これらのデメリットをハウスメーカーと比較しつつ解説していきます。
工務店 | ハウスメーカー | |
アフターサービス | 工務店による | ほぼ均一 |
倒産リスク | 高い | 低い |
品質 | 職人さんによる | ほぼ均一 |
展示場 | 無い場合が多い | 有る |
完成までに要する時間 | 長い | 短い |
上の比較表を合わせてチェックすると、理解度が深まります。ぜひご活用ください。
1.アフターサービスの内容にばらつきがある
工務店は会社によってアフターサービスの内容が大きく異なる点がデメリットとして挙げられます。
たとえば保証期間に焦点を当ててみると、工務店は10年程度に定められている会社もあれば、最長60年ほどの長期保証を設定している会社もあります。
工務店名 | 保証期間 |
---|---|
A工務店 | 60年 |
B建設 | 50年 |
C住宅 | 30年 |
D工房 | 20年 |
E建築 | 10年 |
筆者が独自にリサーチ・一覧表を作成
対して大手ハウスメーカーの場合は、延長保証を適用すると最長60年保証で期間を設定している会社が多くみられます。
中には建物がある限り永年保証としているハウスメーカーもありました。
ハウスメーカー名 | 保証期間 |
---|---|
Aハウスメーカー | 60年 |
Bハウスビルダー | 60年 |
C住宅開発 | 永年 |
Dリビング | 60年 |
Eデザインハウス | 30年 |
筆者が独自にリサーチ・一覧表を作成
「気に入って契約したが、最低限のアフターサービスしかついていなかった…」
と後悔しないためにも、あらかじめ工務店にアフターサービスの内容について確認しておくと良いでしょう。
2.倒産のリスクが高い
工務店は倒産リスクが比較的高い点も、見逃せないデメリットのひとつです。
工務店はハウスメーカーと比較して、事業規模が小さいです。
そのため業績不振に陥った場合に、持ち直すために必要な経営上の体力を持っていない会社が多く見られます。
帝国データバンクの「建設業の業界動向調査(2021 年)」内の統計データを見てみても、コロナウイルス感染症が影響し、工務店などの木造建築業を営む会社が2020年度は173件、2021年度には150社も倒産しています。
今後も物価上昇やコロナ禍に国が貸し付けた融資の返済期間がスタートしたことによって、倒産件数が増加すると予想できるでしょう。
工務店の倒産リスクを少しでも抑えるには、工務店の業績確認や備えが有効です。
具体的には以下2点が効果的です。
- 年間の着工棟数を確認する
- 住宅完成保証制度の加入を確認する
年間の着工棟数が安定していれば、業績も安定していると判断できます。
住宅完成保証制度と呼ばれる制度に工務店が加入していれば、万が一依頼先の工務店が倒産しても別の工務店が工事を引き継いでくれます。
リスクを把握し、適切に対処しておけば、倒産のデメリットも最小限に抑えられることでしょう。
3.品質にばらつきがある
工務店はハウスメーカーのような規格化住宅を取り扱っていないケースが多いです。
そのため、マニュアル整備などは細かく行なわれていない可能性が高いです。
また、工場で生産・加工されるものは構造体くらいで、基本的には現場に材料を納入し、手作業で加工・取付けを行ないます。
そのため、職人さんの腕の差によって品質にばらつきが生まれてしまう点がデメリットとして挙げられます。
デメリットを補う対策法としては、工事現場の見学を申し出るなどして、実際の仕事ぶりをチェックするのがおすすめです。
- 現場の整理整頓状況
- 材料の保管方法
- 取り付けた部材の傷防止対策方法
などを確認すれば職人さんの気遣いやこだわりが肌で感じられ、職人さんの質を把握できます。
4.展示場がない
工務店は展示場を持っていない可能性が高いです。
そのため完成のイメージが掴みにくい点がデメリットとして挙げられます。
工務店が展示場を持たない理由は、建設にはコストがかかり、維持管理のための人件費もかかるためです。
ハウスメーカーは全国規模で経営していることが多く、展示場を各エリアの営業拠点としているのが各地に展示場を構える理由のひとつです。
ただし、工務店もお客様に完成イメージを持ってもらうために、完成見学会というイベントを開催する場合があります。
完成見学会は名前の通り、完成物件を見学できるため、展示場よりもリアルな間取りや仕様を確認できます。
気になる工務店が完成見学会を開いていた場合は積極的に参加しましょう。
5.時間がかかる
工務店での家づくりはハウスメーカーと比べて多くの時間がかかる点は理解が必要です。
大手ハウスメーカーは数えられるくらいしかありませんし、広告も積極的に行なっているため、資料請求などで一通りの特徴がわかります。
対して工務店の場合は、広告を行なっていない会社が多くあります。
中には口コミだけで集客している工務店も少なくありません。
そのため、工務店はハウスメーカーと比べて情報収集に時間がかかります。
また自由な家づくりができる分、仕様の打ち合わせなども時間をかけて進めていきます。
時にはメーカーのショールームに足を運んで打ち合わせをする場合もあるでしょう。
人気の工務店の場合、工事の順番待ちがあることも。
工務店で家づくりは、ハウスメーカーと比べ、相対的に時間がかかる点は理解した上で依頼しましょう。
デメリットを打ち消す工務店の強み5選とハウスメーカーとの比較
工務店にはデメリットばかりではなく、そのデメリットすら打ち消すような強みがあります。
具体的には以下の点が強みとして挙げられます。
- 自由度が高い
- 価格を抑えられる
- 地元の特徴を理解した家づくりが得意
- 地域密着ならではの細やかな対応が受けられる
- 高い住宅性能を実現できる可能性がある
強みに関してハウスメーカーとの比較表をまとめました。
これから解説するそれぞれの強みと合わせてチェックしてみてください。
工務店 | ハウスメーカー | |
自由度 | 高い | 低い |
価格(コスト) | 低い | 高い |
地域性の考慮 | 得意 | 苦手 |
細やかな対応 | 可能 | 体制による |
住宅性能 | 高くできる | 一定水準 |
1.自由度が高い
工務店での家づくりは自由度の高さが魅力的なポイントです。
たとえば下記内容を自由に選択できます。
- 外観デザイン
- ドアや床材などの内装建材
- キッチン、洗面台などの水回り設備機器
対してハウスメーカーの場合は、仮に希望のデザインに寄せられたとしても、要望通りのものは実現できない恐れがあります。
また、ドアや床材・設備機器はあらかじめ設定されたバリエーションの中からしか選べない可能性が高いです。
仮に選べたとしても、特注費として追加料金がかかったりすることも。
工務店は自由度の高さから、思い通りの家を実現できる可能性がぐっと上がります。
2.価格を抑えられる
工務店は価格を抑えられる点も大きな強みです。
ハウスメーカーの場合、広告宣伝や経営規模によって大きなコストがかかっています。
もちろん材料メーカーなどに大量発注し、コストを抑える努力は各社行なっています。
しかし、コストダウンにも限界があるため、どうしても価格は高くなってしまうのが実情です。
対して工務店は広告を積極的に行なっていなかったり、家族経営によって人件費も抑えて経営していたりなど、できるだけコストを抑えて経営している会社が見られます。
その結果として一般的にはハウスメーカーよりも低いコストで家が建てられるのです。
3.地元の特徴を理解した家づくりが得意
地域密着で長年家づくりを行なっている工務店は、地元の特徴を理解しています。
そのため地元の特徴を生かした家づくりが得意です。
たとえば地域によって以下のような気候の違いが見られます。
- 夏場に豪雨が多い、冬場に多く雪が降る
- 道路に水が溜まりやすい
- 付近に河川があり、増水する場合がある
- ひらけた土地で強い風が吹き抜ける
また地域によっては生活の様式もさまざまです。具体例には以下のような点が挙げられます。
- 建物が密集している都会
- 比較的ゆったりとした郊外
- 近隣との付き合いが密接な地域
これらの地域特性は長年地元に住んでいる人にしか、わからない内容もあります。
とくに気候の特性については、ハザードマップだけでは把握しきれない情報を工務店が持っている可能性も考えられます。
長年地元に腰を据えて、家づくりを行なってきた工務店だからこそ、生かせるポイントといえるでしょう。
4.地域密着ならではの細やかな対応が受けられる
工務店は地域密着ならではの細やかな対応が強みのひとつです。
ハウスメーカーはアフターサービスが専門部署の設置などにより、しっかりと整備されています。
しかし整備がされている分、受付が連絡を受け、担当者へ繋ぐことでやっと対応が出来ます。
そのためタイムラグの発生はどうしても避けられません。
中には「営業担当に連絡すれば良いのでは?」と感じた人もいるかもしれません。
しかし、ハウスメーカーの場合は営業担当も異動や転勤によって担当から外れる可能性は十分考えられます。
対して工務店の場合は数名から数十名程度で経営しているため、担当者が変わらないケースがほとんどです。
そのため、担当者への電話一本で駆けつけてくれることも。
工務店によっては雪下ろしや網戸交換などのサービスを実施している場合も見られます。
関係性が構築できれば、なんでも相談できる住まいのパートナーにもなりうるでしょう。
5.高い住宅性能を実現できる可能性がある
工務店は断熱、気密、耐震など、家の性能にもこだわって設計ができます。
なぜなら工務店は使用を自由に選択ができ、性能の向上もハウスメーカーと比べて簡単に行なえるからです。
対してハウスメーカーの場合は、規格化によって断熱材や窓ガラスなど断熱性能に関わる部分においては使用できる種類が決まっていたり、選べたとしても限られた種類からしか選択できません。
たとえば断熱・気密性能を例に挙げてみてみましょう。
現在日本では高断熱住宅の基準を表す指標としてHEAT20の水準を用いられています。
HEAT20は以下の3つのグレードに分けられ、Ua値:家の表面のみから熱が逃げる量を表した値で評価されます。
グレード | 暖房期最低室温 | Ua値 |
G1 | 概ね8℃を下回らない | 0.56 |
G2 | 概ね10℃を下回らない | 0.46 |
G3 | 概ね13℃を下回らない | 0.26 |
一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会「HEAT 20住宅シナリオ(2021年6月版)」をもとに筆者作成
上記水準を把握した上でハウスメーカーの断熱性能についてみてみましょう。
下表がハウスメーカー各社のUa値とHEAT20の相当グレードをまとめたものです。
ハウスメーカー | Ua値(W/㎡K) | HEAT20相当グレード |
---|---|---|
A社 | 0.25 | G3相当 |
B社 | 0.32 | G2相当 |
C社 | 0.33 | G2相当 |
D社 | 0.60未満 | G1以下 |
E社 | 0.26 | G3相当 |
F社 | 0.56 | G1相当 |
筆者が独自にリサーチ、表を作成
表の通り、ハウスメーカー各社で断熱性能は各社でばらつきがあることが読み取れます。
これに対し、工務店には断熱・気密性能に力を入れている会社が多数あり、HEAT20 G3相当を取得可能な工務店も数多く存在します。
工務店でデメリット以上に高い満足度を得られる人の特徴
「工務店のデメリットが気になって依頼すべきか迷う」と悩んでいる人もいるでしょう。
ですが、デメリット以上に高い満足度を得られる人には、とある特徴があります。
その特徴とはデメリットをポジティブに捉えられる人です。具体的な特徴は以下の通りです。
- 時間をかけて家づくりを進めたい人
- コストを抑えて家づくりをしたい人
- 家のブランドに関心がない人
- 長く付き合える住まいのパートナーが欲しい人
上記特徴に複数当てはまる人は、工務店での家づくりで高い満足度を得られる可能性があります。
あなたにぴったりの地元の工務店が見つかる!6つのステップ
この記事を読んでいる人の中には「工務店選びに失敗したく無いけど、どのようにして選べばいいかわからない」と感じている人もいるでしょう。
実はあなたに合った工務店を見つけ出すためには、6つのステップを理解する必要があります。
具体的なステップは以下の通りです。
- 希望条件を整理する
- 工務店の情報収集をする
- 希望条件に合いそうな工務店をピックアップする
- 完成見学会や構造見学会に参加する
- 複数の工務店へ見積もり依頼する
- 比較検討し工務店を決める
それぞれのステップについて解説していきます。
1.希望条件を整理する
工務店を探す前に家づくりを行なう際の希望条件を整理しましょう。
たとえば以下の点について、まとめておくとスムーズに話が進みます。
- デザインのイメージ(外装・内装)
- 間取り
- 部屋のサイズ
- 予算
デザインに関してはInstagramやPinterestなどのSNSで検索がおすすめです。
気に入ったデザインなどがあれば保存機能でストックしておけるので、打ち合わせ時に工務店の担当へ希望を伝える際に役立ちます。
2.工務店の情報収集をする
希望条件が整理できたら早速工務店を探しましょう。
工務店は積極的に広告を行なっていないため、自身で探す必要があります。
雑誌やインターネット、SNSなどさまざまな媒体を駆使して情報収集をしましょう。
情報収集の段階では工務店の数を絞り込まず、施工エリア内の工務店をできるだけ多く見つけるのがポイントです。
3.希望条件に合いそうな工務店をピックアップする
情報収集でできるだけ多くの工務店を見つけ出したら、希望条件に合うかどうかをチェックしましょう。
具体的なチェック方法は以下の通りです。
- HPの施工事例をチェック
- SNSでオーナーの投稿をチェック
- 口コミや評判をチェック
工務店のHPやオーナーのSNS投稿から施工事例や口コミが確認できます。
これらの情報を参考に自分の希望を叶えてくれそうな工務店を複数ピックアップしておきましょう。
4.完成見学会や構造見学会に参加する
ピックアップした工務店をさらに絞り込むため、工務店主催の見学会に参加しましょう。
工務店は展示場を持っていない場合が多いため、完成見学会や構造見学会を開いているケースが多く見られます。
見学会は家の出来栄えや性能を肌で感じる貴重な機会です。
場合によってはオーナーが同席し、具体的な家づくりの話を聞けることも。
万が一、見学会を開いていない工務店があった場合は、工事現場を見学したいと相談するのもひとつの手です。
完成時のイメージを想像できるようにするためにも、工務店が手がけた物件を積極的に見学しましょう。
5.複数の工務店へ見積もり依頼する
見学会の後は工務店へ見積もり依頼をしましょう。ここでのポイントは以下の通りです。
- 2、3社に見積もり依頼をする
- 希望条件はもれなく、偏りなく伝える
見積もり依頼をする工務店を2、3社に絞る理由は、何社も見積もりを取っていると悩みやすく、工務店選びに時間がかかるためです。
金額が出る前に、希望条件に近い家が建てられそうな工務店をふるい分けしておくことで、金額に惑わされず、後悔のない工務店選びが実現します。
また見積もり時に工務店へ伝える希望条件にブレがあると、比較検討が難しくなるため、おすすめしません。
現時点で依頼したいと感じている工務店に対して、はじめのステップでまとめた希望条件を正確に伝えられるかがポイントです。
6.比較検討して工務店を決める
情報が出揃ったところで、家づくりを依頼する工務店を決めるために比較検討をしましょう。
比較検討のポイントは、集めた情報を総合的に評価、比較することです。
たとえば金額が最もお値打ちだからと他の希望条件をなおざりにしてしまうと、後悔につながるリスクが高まります。
職人さんの腕、希望条件に合った家づくりができるか、実際の口コミなどを含めて検討すれば、満足度の高い家づくりができる可能性がぐっと高まります。
また工務店の担当者との相性も忘れてはいけません。
工務店の家づくりは一年以上の長い時間をかけて打ち合わせを進めることになります。
コミュニケーションがしやすい家づくりのパートナーになり得る人かどうかも比較検討の重要な要素のひとつです。
集めた情報をフル活用して、慎重に工務店を選びましょう。
工務店選びはデメリットだけでなく強みも理解して、後悔のない家づくりを!
工務店での家づくりはデメリットだけでなく、強みがあります。
今回紹介した特徴が自分に当てはまった場合は、工務店での家づくりで高い満足度を得られる可能性が高いです。
ぜひ工務店選びの6ステップを参考に、相性の良い工務店を見つけ出してください。
とはいえ情報収集を少しでも楽にできたらいいと感じていませんか?
実際に工務店探しに疲れてしまい、家づくりの打ち合わせが始まる頃には疲弊してしまうという人は見られます。
実際に私自身もその1人です。
数年前に地元の工務店で新築一戸建てを建てたのですが、家づくりのパートナー探しには骨が折れました。
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